たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
千影のその言葉に、アンジーは思わず嫌そうな顔をしている。まさか彼女がこのようなことを言いだすとは思ってもいなかったのだ。
それでも、心のどこかにはそんな予感もあったのだろうか。嫌そうに見える表情に別の物も混じっているようにみえる。
そして、それを見逃す千影ではない。彼女はグイッと身を乗り出すとアンジーに囁きかけている。
「アンジー様。私だって、このようなことをお願いするのが非常識だということはよく分かっていますわ」
「それなら、どうして……」
「どうしてもです。私、このまま惟様に嫌われてしまうのは嫌なんです。だから、ちゃんとお目にかかってお話したい」
「だったら、それは仕事中でもできるんじゃないの? わざわざ惟と二人っきりで会う必要ないでしょう。そんなことが知れたら、惟や千影さんの評判が悪くなるんじゃない?」
惟に亜紀という婚約者がいる。このことは知らぬ者の方が少ないだろう。なにしろ、週刊誌にデカデカと書きたてられたのだ。
そして、それだけではない。亜紀は一條という家の名を背負っている。この名前の力は半端なものではない。間違いなく、世界各国の社交界でも知られている名前。そして、山県という名前もそれなりに上流社会では通っている。そんな二人が婚約したのだ。
噂好きの上流階級の面々にすれば、これは格好の話題のタネ。そして、その相手が婚約者以外の女性と二人っきりで会う。そのことを彼らがどのように思うのかなど考えるまでもない。
それでも、心のどこかにはそんな予感もあったのだろうか。嫌そうに見える表情に別の物も混じっているようにみえる。
そして、それを見逃す千影ではない。彼女はグイッと身を乗り出すとアンジーに囁きかけている。
「アンジー様。私だって、このようなことをお願いするのが非常識だということはよく分かっていますわ」
「それなら、どうして……」
「どうしてもです。私、このまま惟様に嫌われてしまうのは嫌なんです。だから、ちゃんとお目にかかってお話したい」
「だったら、それは仕事中でもできるんじゃないの? わざわざ惟と二人っきりで会う必要ないでしょう。そんなことが知れたら、惟や千影さんの評判が悪くなるんじゃない?」
惟に亜紀という婚約者がいる。このことは知らぬ者の方が少ないだろう。なにしろ、週刊誌にデカデカと書きたてられたのだ。
そして、それだけではない。亜紀は一條という家の名を背負っている。この名前の力は半端なものではない。間違いなく、世界各国の社交界でも知られている名前。そして、山県という名前もそれなりに上流社会では通っている。そんな二人が婚約したのだ。
噂好きの上流階級の面々にすれば、これは格好の話題のタネ。そして、その相手が婚約者以外の女性と二人っきりで会う。そのことを彼らがどのように思うのかなど考えるまでもない。