たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
いつものアンジーからは考えられない低い声がその場に響く。しかし、その声を千影はあっさりと無視するように言葉を紡ぐ。
「どうなんでしょう? 私にはアンジー様がどのように思っていらっしゃるか分かりませんもの。ただ、私はお願いしているだけです。それより、お食事にしましょう。ここのお料理って美味しいんですよ」
千影のその声にアンジーはどう対応していいのか分からなくなっている。
先ほどまでは間違いなく彼に『惟との仲を取り持ってくれ』というような雰囲気だった。だというのに、今はまるで違う。今日は食事に誘ったのだから、一緒に楽しもう。そんな雰囲気が全身から感じられる。
しかし、その直前に彼女が放った言葉。それはゆっくりと効果のある毒のように、アンジーの中を巡っていく。その言葉の甘い響きに耳を傾けてはいけない。そのことをよく知っているはずの彼だが、どうにもそれができそうにない。
そのことに思わず大きく頭を振った彼は、この場は気持ちを切り替えないといけないのだとも思っている。だからこそ、彼は千影が示すメニューに目を落とし、彼女が勧めるものを機械的に注文するしかないようだった。
◇◆◇◆◇
あの時、千影の誘いを受けるべきではなかったのだ。今のアンジーはそんなことを考えている。なにしろ、あの日から彼女が彼に向ける視線があまりにも意味ありげだからだ。あのことは考えてはいけない。そう思ってはいても、気がつけば彼女の言葉が頭によぎる。
「どうなんでしょう? 私にはアンジー様がどのように思っていらっしゃるか分かりませんもの。ただ、私はお願いしているだけです。それより、お食事にしましょう。ここのお料理って美味しいんですよ」
千影のその声にアンジーはどう対応していいのか分からなくなっている。
先ほどまでは間違いなく彼に『惟との仲を取り持ってくれ』というような雰囲気だった。だというのに、今はまるで違う。今日は食事に誘ったのだから、一緒に楽しもう。そんな雰囲気が全身から感じられる。
しかし、その直前に彼女が放った言葉。それはゆっくりと効果のある毒のように、アンジーの中を巡っていく。その言葉の甘い響きに耳を傾けてはいけない。そのことをよく知っているはずの彼だが、どうにもそれができそうにない。
そのことに思わず大きく頭を振った彼は、この場は気持ちを切り替えないといけないのだとも思っている。だからこそ、彼は千影が示すメニューに目を落とし、彼女が勧めるものを機械的に注文するしかないようだった。
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あの時、千影の誘いを受けるべきではなかったのだ。今のアンジーはそんなことを考えている。なにしろ、あの日から彼女が彼に向ける視線があまりにも意味ありげだからだ。あのことは考えてはいけない。そう思ってはいても、気がつけば彼女の言葉が頭によぎる。