たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「グラントさん……」



それでも、彼の言葉に頷くことはできない。そう思う彼女は力のない声で彼の名前を呼ぶだけ。そんな彼女の口に温かいものが触れてくる。それの意味するものは一つしかないだろう。


今、アンジーにキスされた。


そのことを悟った亜紀は目を見開くことしかできない。そんな彼女をギュッと抱きしめたアンジーはどこか切なげな声で彼女に訴えかける。



「亜紀、愛している。だから、僕を見て。惟じゃなくて、僕を見て」



囁きかけられる声は熱っぽくどこか掠れたような感じ。こんな感じの声は前にも聞いたことがある。そう思った亜紀は、絶対にこの声に耳を傾けてはいけないのだと思っている。


このままでは飲まれる。アンジーの感情に間違いなく飲み込まれる。


そう思う彼女はギュッと目をつぶり、彼の感情を受け入れないように身を固くする。そんな亜紀の体をますます強く抱きしめるアンジー。そして、囁かれる声はますます熱を帯びてくる。



「亜紀、愛している。君のこと、愛している。だから、僕を見て。僕なら、絶対に君を泣かせたりしないから。君にそんな顔させないから。だから……」


「グラントさん……私……」



今の亜紀はどう応えていいのか分からなくなっている。持っていたカップが床に落ち、ガシャンという音を立てるがそれすらも耳に入っていない。思ってもいなかった相手からの告白に、亜紀は頭が真っ白になってしまっている。



「グラントさん……私、私……」
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