たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
亜紀が惟の名前を口にしたとたん、先ほどよりも激しい勢いで唇がふさがれる。そのまま、首筋から鎖骨へと口づけの雨は移動していく。そんな中、首筋に感じるチリっとした痛み。この痛みが何を意味するのか。それが分かった亜紀は思わず悲鳴のような声を上げている。



「嫌ぁッ! 離して、離してよ!」


「ダメ。離さない。愛しているって言ってるでしょう? 僕のこと、受け入れて」


「嫌ぁッ! 惟、助けて!」



何とか自由になりたい亜紀は身をよじりながらそう叫ぶだけ。いつの間にか涙がポロポロこぼれてくるのにも気がついていないのだろう。今の彼女は必死になって惟に助けを呼ぶことしかできない。そんな彼女を逃がすまいというように、アンジーはのしかかる力をさらに強くする。



「惟を呼んでも来ないよ。それに、ここは僕の絶対領域だから。僕が許可しない限り、たとえ惟でも入ってくることはできない。だから、諦めて。無理矢理はしたくないんだよ。でも、気が変わった。亜紀を抱かせて」



熱っぽいその声に、どこか狂おしいものも混じってきている。そのことに気がついた亜紀が今まで以上に暴れ、自由になろうともがく。

だが、男女の力の差は否めない。彼女は逃げることもできず、アンジーが何箇所も痕をつけることをやめさせることもできない。そんな時、室内の空気を破るように響く電話の音。

その音に彼の力がフッと抜けていく。なんとかして自由になろうとしていた亜紀がその瞬間を見逃すはずがない。これを逃したらいけない。そう思っている彼女は必死になってアンジーの腕から逃れると、そのまま一気に部屋の外に飛び出すことしかできなかった。



to be continued


< 146 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop