たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「嫌! 今は会いたくないの。帰ってよ! 会いたくないんだから、帰って!」
亜紀が惟を拒絶する言葉はどんどんとエスカレートしていく。それに比例して、感情も高ぶっていくのだろう。声も確実に荒ぶっていく。
こんな状態の彼女と話ができるはずがない。そのことを普段の惟であれば分かるはず。それなのに、今の彼はなんとかして亜紀に会いたいという思いだけに囚われている。
だが、いくら声をかけても彼女からいい返事がない。そのことに苛立ちを覚えたのだろう。彼の手が部屋の扉にかけられる。そのまま、グッと押し開こうとする手を止めるように伸ばされる手。
その手が手袋をはめている。そのことに気がついた惟は、邪魔をするな、というように鋭い眼光で相手を睨みつけるだけ。だが、相手がそれに怯むことはない。淡々とした調子で、惟に向かって言葉をかけてくる。
「山県様。いくらあなたがお嬢様の婚約者だと申されても、これは許されることではございませんでしょう」
「どうして? 婚約者の部屋に入るんだよ。寝込みを襲おうなんて思ってないんだし、問題ないだろう」
「普段のお嬢様でしたら問題ございません。しかし、今のお嬢様は普通ではありません。そして、はっきりとお会いになりたくないとおっしゃっておられるではありませんか。それなのに、無理に入られるというのは、常識から外れているかと存じます」
穏やかな口調ではあるが、言葉は辛辣なものが含まれる。それに気がついた惟はキッと相手を睨みつけ、キツイ声で応えている。
「竹原、君にそんなことを言う権利があるの? 僕は亜紀の婚約者だよ。彼女に会う権利は当然あるはずだ」
亜紀が惟を拒絶する言葉はどんどんとエスカレートしていく。それに比例して、感情も高ぶっていくのだろう。声も確実に荒ぶっていく。
こんな状態の彼女と話ができるはずがない。そのことを普段の惟であれば分かるはず。それなのに、今の彼はなんとかして亜紀に会いたいという思いだけに囚われている。
だが、いくら声をかけても彼女からいい返事がない。そのことに苛立ちを覚えたのだろう。彼の手が部屋の扉にかけられる。そのまま、グッと押し開こうとする手を止めるように伸ばされる手。
その手が手袋をはめている。そのことに気がついた惟は、邪魔をするな、というように鋭い眼光で相手を睨みつけるだけ。だが、相手がそれに怯むことはない。淡々とした調子で、惟に向かって言葉をかけてくる。
「山県様。いくらあなたがお嬢様の婚約者だと申されても、これは許されることではございませんでしょう」
「どうして? 婚約者の部屋に入るんだよ。寝込みを襲おうなんて思ってないんだし、問題ないだろう」
「普段のお嬢様でしたら問題ございません。しかし、今のお嬢様は普通ではありません。そして、はっきりとお会いになりたくないとおっしゃっておられるではありませんか。それなのに、無理に入られるというのは、常識から外れているかと存じます」
穏やかな口調ではあるが、言葉は辛辣なものが含まれる。それに気がついた惟はキッと相手を睨みつけ、キツイ声で応えている。
「竹原、君にそんなことを言う権利があるの? 僕は亜紀の婚約者だよ。彼女に会う権利は当然あるはずだ」