たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
なにしろ、どうやら制服のままでベッドにもぐりこんでいるようなのだ。この調子では、明日は着ることができるような状態ではないはず。そう思う彼は、着替えを促すために彼女の肩に手を触れる。その時、亜紀の首筋に咲く赤い痕を雅弥はみつけていた。



「これは?」



いや、口に出さずともそれがキスマークであることは簡単に分かる。そうなると、それを彼女につけた相手が誰であるのか。

しかし、雅弥はこの犯人を知っていると思っている。なぜなら、先日まで間違いなく惟のことを受け入れていたはずの亜紀が今日は完全に拒絶していた。その理由が分からなかった彼だが、今は分かっていると思っている。

恐らく、惟が亜紀に強引に関係を求めたのだろう。だが、まだ高校生の亜紀がそれを了承するはずがない。そのために、彼女は彼を拒絶した。これは間違った推察であるのだが、雅弥がそのことを知ることはない。

そして、この推論は雅弥にとっては許しがたいことでもある。なにしろ、彼は亜紀のことを仕える主としてだけではなく、大事な妹のように思っている。その大切な妹を傷つけられた。そんな思いが今の彼には湧きあがっている。



「お嬢様。申し訳ありませんでした。わたしがもっとよく気をつけていればよかったのです。でも、大丈夫です。もう、このよう目にはあわせませんから……」



どこか悔しさをにじませる声が響いていく。そして、雅弥は亜紀を守らなければいけないという思いで彼女の顔をみつめることしかできないようだった……



to be continued


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