たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
王子様は甘く囁く
「う~ん、分かっていたけど凄い。亜紀ってこんなところに通っているんだ」



白綾の校門前でそんなことを呟きながら立っている女生徒がいる。その生徒が着ているのは、近くの公立校である上洛高校の制服。セーラー服であるその制服も、たしかに可愛らしい。だが、目の前を通り過ぎる白綾の生徒たちが着ているものとは雲泥の差がある。そんなことを考えながら、彼女は人待ち顔で佇んでいる。

この女生徒、亜紀の幼なじみで中学まで同級生だった佐藤由紀子。本来であれば、一緒に上洛に通うはずだった亜紀が白綾という金持ち学校に進学したことに最初は納得していなかった。しかし、いろいろと事情があるということを理解してからは、今までと同じ付き合いを続けている。

もっとも、その理由の一つにセレブ校のイケメンと知り合いになりたい、というものが含まれているのも間違いない。そのためだろう。亜紀が出てくるのを待っている間、由紀子は他の生徒たちをチラチラと値踏みするように眺めているのだった。



「う~ん、やっぱり、レベル高い。声はかけたいけど、ちょっと気遅れしちゃうわよね。うん、ここはやっぱり亜紀が来てからにしようっと」



同じ高校生にはずなのに、彼らから感じる雰囲気に圧倒される。そんなことを思う由紀子は、今は目の保養だと気持ちを切り替えていた。そんな時、校門近くの雰囲気が微妙に変わっていく。



「どうかしたのかな?」



先ほどまで、ざわついた空気はしていなかったはずだ。それなのに、今は違う。おまけに、女生徒たちがヒソヒソと囁く声が嫌に耳につく。そのことが気になって仕方がない由紀子は、彼女たちの視線の先に目をやっている。そこにいた相手の姿に、彼女の目は釘付けになっていた。

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