たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「ゆ、由紀子! 見てないで助けてよ!」


「え~、邪魔しちゃ悪いじゃない」



今の由紀子は絶対に今の状況を楽しんでいる。そんな確信が亜紀の中には生まれてきていた。そのせいだろう。彼女はキッと友人の顔を睨みつけるが、由紀子がそれに動じるはずもない。そんな二人を見ていた惟は、フッと笑顔を浮かべると由紀子に声をかけている。



「由紀子ちゃん、でいいかな? 本当に君ってよく分かってくれているね」


「ありがとうございます。えっと、お名前、伺ってもいいですか? あ、私、佐藤由紀子っていいます。亜紀とは幼なじみで中学まで一緒でした」



その声に、惟は昨日の亜紀の言葉を思い出したのだろう。納得したような表情が浮かんでいる。



「じゃあ、亜紀ちゃんが上洛に一緒に行こうって思っていた友だちが君なんだね。そうでしょう? 君が着ている制服って、上洛高校のものだよね?」



その問いかけに、由紀子は「はい、そうです」と頷く。その彼女の目がキラキラしている。そういえば、由紀子はイケメンが好きだった。そんなことを思い出して亜紀は肩をガックリとさせている。友人同士ではありながら反応のまるで違う二人の姿に、惟は笑いながら話し続けている。



「あ、僕の名前だよね。僕は山県惟。亜紀ちゃんの親戚になるんだよ」



そう言いながら握手をしようと差し出される手を由紀子は慌てて握り返している。そんな彼女に、彼はニッコリと笑いかけると、言葉を続けていた。



「じゃあ、僕は車を取ってくるから。由紀子ちゃんは亜紀ちゃんとゆっくり話していて。そうだ、亜紀ちゃん。ちょっと携帯貸して」

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