たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
友人のそんな言葉に、亜紀は返す言葉がみつからない。そんな彼女の背中を軽く叩いた由紀子は、話を続けていた。



「ねえ、亜紀。頭っから拒否するっていうのもあんたらしくないじゃない」


「由紀子はそう言うけど……」


「ま、あんたの気持ちが分からない訳じゃないけどね。高校入る前と今じゃ、あんたの環境って信じられないくらい変わってるし。うん、幼なじみのあんたが一條コーポレーションなんて化け物企業のお嬢様だ、なんてこと普通じゃ考えられないもん」



由紀子のその声に亜紀も「そうよね~」と切り返す。そんな彼女に由紀子はビシッと指をさす。その姿に、思わず背筋をピンと伸ばす亜紀。それを見た由紀子は唇をニンマリと上げると、楽しそうな調子で言葉を紡ぐ。



「だからね。せっかくだし、あのイケメンのこと、いろいろと教えてもらいなさい」


「だから、どうしてそうなるのよ!」


「そうなるわよ。だって、あんたがどう思っていようとも話は進みそうじゃない。惟さんはパートナーとして契約しようとまでいってるんでしょう? だったら、あんたに逃げ道はないって」



その事態は亜紀もうすうす感じていたのだろう。ガックリと肩を落としながら「そうなのよね」と呟いている。そんな彼女に由紀子は追い打ちをかけるように話しかける。



「でしょう? じゃあ、その惟さんが何をしているのかってあんたは知ってるの?」



由紀子の問いかけに、亜紀は間髪をいれずに「知らない」と応える。その姿に、呆れたような調子で由紀子の声が被さる。

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