たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「じゃあ、知っていかなきゃ。あちらはあんたのことを知ってるだろうけど、あんたはそうじゃない。それって失礼だし、困ることでしょう? 仮にもパートナーとなるなら、それくらいは知っておかなきゃ」


「それはそうかもしれないけど……」


「だったら、善は急げってね。いろいろ教えてもらって、それであんた自身も気持ちが変わってくるだろうし。今は頭っから拒否してるけど、ひょっとしたら恋愛感情も生まれてくるかもよ?」


「ねえ、由紀子。私が困ってるの分かってるのに、楽しんでいるでしょう」


「そんなことないわよ。亜紀がちゃんと恋愛できるように協力してあげてるんじゃない。それに、あの人だったら間違いないと思うんだけどな」



由紀子のそんな声に、亜紀は膨れたような表情で横を向く。友人のその反応は分かっていたことなのか、由紀子が気にする様子もない。それどころか、彼女は扉を開けて出て行こうとする。



「由紀子、どうかしたの?」


「多分、外で待ってくれてるんじゃない? 私も惟さんがどんな仕事してるのか興味あるし、一緒にききたいなって思って」


「由紀子、勝手に決めないで。それに、惟さんにだって都合があるだろうし」


「いいじゃない。こういうことって、気になった時に解決するのが一番なのよ」


「それって、由紀子が気になるからでしょう? 私は関係ないもん」



とはいっても、由紀子が扉を開けたことに間違いはない。そして、そのせいで亜紀の声が外に流れていく。それを耳にしたのだろう。惟がゆっくりと二人のそばに近づいてきていた。

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