たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
これこそ愚問、というように由紀子は惟の言葉をバッサリと切り捨てている。その口調もそれまでとは違っている。そのままの調子で、彼女は惟に問いかけていた。



「今、訊ねても教えてもらえないとは思うんですけど……でも、どうして亜紀なんですか? あの子も気にしていたけど、惟さんと亜紀じゃ年の差かなりあるでしょう? 失礼ですけど、お幾つですか?」


「ここで聞くの? ま、女性ほど年齢には拘らないから教えるけどね。一応、28。亜紀ちゃんが通っている白綾の高等部を卒業してからヨーロッパを放浪してた。あ、心配しなくても大学は卒業しているよ」


「28!? じゃあ、亜紀や私とは一回り違うんですよね? 年上だとは思ってたけど、そこまでだったとは……うん……やっぱりイケメンは年も誤魔化せるんだ……」


「由紀子ちゃん、なんだか穏やかならぬことを耳にしたような気がするけど? さっきまでの君とは違うよね。こっちの君が本性かな?」


「どうでしょう? そういう惟さんも亜紀が一緒にいる時とは、雰囲気違うと思いますよ? あの子がいる時は、どうみても王子様だったのに。ま、今の惟さんも嫌じゃないですし、亜紀には今の方が好印象かもしれませんけど?」



由紀子のその声に、惟はポカンとした表情を浮かべている。そんな彼に、彼女はクスリと笑いながら言葉を続ける。



「たしかに女の子って王子様やアイドルに憧れますよ。でも、それって憧れの部分も大きいんですよね。白馬の王子様って憧れるけど、現実にはいない。そんなことも考えるものです」

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