たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
蘇る思い出と溢れる想い
「ねえ、ここって、あそこよね?」


「うん……間違いない。お店のロゴもそうだし……」



ラ・メールから惟に連れ出された場所。そこが思ってもいなかったところだったのだろう。亜紀と由紀子はお互いに顔を見合わせることしかできない。



『何をしているのか教えてください』



そう強請ったことに惟が頷いた。そのことは二人とも理解している。それからが驚きの連続。

まず、「今から案内する」という言葉とともに、外で待ち構えるようにしていた車に押し込められた。その後、これといった説明もなく、車が走り続ける。

このあたりのことは強引だと抗議したくもなることだが、こちらが無理を言ったことも承知している。そして、亜紀はともかくとして由紀子は好奇心で一杯になっている。そのことに気がついた亜紀が大きくため息をついた時、車が静かに停まり、惟が「着いたよ」と声をかける。

その声に、車から降りた二人が口にしたのが先ほどの言葉。つまり、それほどこの場所は二人にとって驚きでしかないということがいえるのだった。



「てっきり、どこかのオフィスビルに連れて行かれると思ってた」


「由紀子も思った? それは私もよ。あ、ひょっとしてこの上? たしか、この上って普通のオフィスだったはずだし……」



二人は同じことを何度も繰り返すことしかできない。しかし、それも当然だろう。なにしろ、今いる場所はお洒落なブティックやブランド物の公式ショップが並ぶ一画。ここが、ある意味での憧れの場所なのは間違いない。

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