たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「どうして?」
「だって……車の助手席って、特別なんじゃないですか? 私なんかが乗って、問題ないんですか? 惟さんなら、他にもそういう人がいるんじゃないかなって……」
「亜紀ちゃん、それって愚問。そうでしょう? 僕が婚約者である君以外をこの席に座らせると思うの? それに、亜紀ちゃんが期待しているような人、いるはずないでしょう。そりゃ、今まで誰とも付き合わなかったってことは言わないよ。でも、今は亜紀ちゃん一筋」
さり気なく言われたことではあるが、これは重大なことなのではないだろうか。そんな思いが亜紀の中には渦巻いている。
彼の口から出てくる『婚約者』という言葉。これが持つ響きが甘いものであるのは間違いない。だが、まだそのことを受け入れるつもりはない。だというのに、耳元で囁かれる声にぐらついてしまいそうになる自分がいる。
このままではいけない。そう思ってはいても惟が囁きかける声はあまりにも魅惑的。その言葉にうっかりと頷いてしまいそうになるのも間違いない。
そして、彼女自身の気持ちが揺れているのも事実なのだろう。由紀子が惟に急接近した時に感じたモヤモヤした気持ち。これがどういうものであるのか彼女には分かっていない。
だが、誰かがそれを耳にすれば、亜紀のそれは由紀子に嫉妬したのだとハッキリ告げるだろう。今の彼女は無意識のうちに惟に好意を持ち始めている。だが、そのことを本人が自覚していない。
だからこそ、宙ぶらりんな気持ちの彼女は戸惑う色を浮かべるだけ。そんな彼女をみた惟は運転席に座ると車を動かしていた。
「だって……車の助手席って、特別なんじゃないですか? 私なんかが乗って、問題ないんですか? 惟さんなら、他にもそういう人がいるんじゃないかなって……」
「亜紀ちゃん、それって愚問。そうでしょう? 僕が婚約者である君以外をこの席に座らせると思うの? それに、亜紀ちゃんが期待しているような人、いるはずないでしょう。そりゃ、今まで誰とも付き合わなかったってことは言わないよ。でも、今は亜紀ちゃん一筋」
さり気なく言われたことではあるが、これは重大なことなのではないだろうか。そんな思いが亜紀の中には渦巻いている。
彼の口から出てくる『婚約者』という言葉。これが持つ響きが甘いものであるのは間違いない。だが、まだそのことを受け入れるつもりはない。だというのに、耳元で囁かれる声にぐらついてしまいそうになる自分がいる。
このままではいけない。そう思ってはいても惟が囁きかける声はあまりにも魅惑的。その言葉にうっかりと頷いてしまいそうになるのも間違いない。
そして、彼女自身の気持ちが揺れているのも事実なのだろう。由紀子が惟に急接近した時に感じたモヤモヤした気持ち。これがどういうものであるのか彼女には分かっていない。
だが、誰かがそれを耳にすれば、亜紀のそれは由紀子に嫉妬したのだとハッキリ告げるだろう。今の彼女は無意識のうちに惟に好意を持ち始めている。だが、そのことを本人が自覚していない。
だからこそ、宙ぶらりんな気持ちの彼女は戸惑う色を浮かべるだけ。そんな彼女をみた惟は運転席に座ると車を動かしていた。