たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
「ねえ、亜紀ちゃん。明日、予定がある?」



心地よいスピードで車は走っていく。その中で、惟は亜紀に明日の予定をきいていた。それがごく自然に行われたからだろう。彼女はちょっと小首を傾げながら返事をする。



「明日ですか? 特に予定はなかったと思いますけれども?」


「じゃあ、デートしない? 明日、学校は休みだったよね」


「たしかに休みです。でも、さっきも言ったけど、迷惑じゃないですか?」


「そんなことないよ。でも、亜紀ちゃんの方が迷惑かな? こんなおじさんとデートだなんて」


「まさか! 惟さんのこと、おじさんだなんて思ったことないです。おじさんっていうよりお兄さんかな? だって、お兄ちゃんとあんまり年が変わらないんでしょう?」


「たしかにね。でも、お兄さんか。ちょっとそれって複雑だよ。だって、まだ僕のことを婚約者だと思って見てくれるつもりないんだっていうことだよね。でも、おじさん扱いされなかったのは嬉しいよ。だって、僕と亜紀ちゃん、一回り違うんだからね。高校生の亜紀ちゃんからみれば、僕はおじさんってこと」



自分を茶化すような惟の発言に亜紀は思わず笑い出している。先ほどまでの甘い雰囲気はそこにはない。しかし、彼女にすればこの状況の方が安心できる。そんなことを思うのか、今の亜紀の顔には柔らかな笑みが浮かぶ。そんな彼女の姿に惟は目を細めて満足そうな表情をみせている。そして、確認するように改めて声をかけていた。



「じゃあ、明日は僕とデート。場所は任せてくれるよね」


「あ、はい。なんだか申し訳ないんですけど、お願いします」

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