最後の夏休み Last Summer Days.
プロローグ 始まりとオワリ
プロローグ 始まりとオワリ




 いつの間にか離れていっていった空なのかもわからない黒い海面は、



ゆらゆら揺れている月の光でアタシを照らす。



吐き出した息が泡になって、



キラキラとクラゲみたいに海面の空へ上がっていく。



静かすぎる真夜中の海の世界から、



ゆっくりとアタシの意識は薄れていく。



ああ、あの時もこんな感じだった。



だから、アタシはまたこんなことをしてしまったのかな?



アナタに会いたいから。



もう何をしたって戻らないのに。



戻せるなら、時間を戻してアナタに言いたいことがあるのに。



伝えられない想いだけが、



あの時の思い出のように増えていくよ。



アナタと過ごした、



最初で、最後の夏休み―――
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