最後の夏休み Last Summer Days.
マユカとすれ違うタカヒロは首にかけたタオルで汗をふいていた。



「久しぶり。元気だった?」



Tシャツとハーパンのままだった。



「部活終わったばっかに呼び出してごめんね」



別れてからも、2年になってクラスが別々になってからも、しゃべっていない。



どう話していたか、忘れてしまった。



「髪、切ったんだね。似合ってる」



アタシの言葉に、反応の薄い返事しかしてくれなかった。



「何の用?」



短い沈黙を、セミの声が時々埋めていた。



「確かめたかった。アナタをまだ好きなのか」



そう言うと彼は不機嫌な顔をする。


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