最後の夏休み Last Summer Days.
「カニクリ!」



タカヒロにそう呼ばれたのはホントに久しぶりだった。



「クラスの女子が言ってたけど、小説家になるんだって?」



「そうだよ。みんなウザいって言ってなかった? 調子乗ってるって」



「そんなことねぇよ。スゲーと思ってる」



「ありがと。タカヒロ、ありがとね」



照れ笑いしながらアタシは背中越しに言って歩き出す。



泣いてしまいそうだった。



階段を降りていくとマユカが待っていてくれた。



「よくがんばったね。カニクリ」



と抱き締めて頭をなでた。



その言葉でアタシは我慢できずに、泣いた。



前にも、こんなことがあった。



その時は、小説家が慰めてくれたよね。


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