最後の夏休み Last Summer Days.
夕日が入り込む教室で、アタシはマユカにタカヒロの話をした。



「ねぇ、マユカ。………ありがとね」



アタシが書いた小説を読んでもらったことはあっても、小説家に慰めてもらったことまで話すのは初めてだった。



「気にしないでいいよ。トモダチじゃん」



「うん。ありがと」



話さなかったんじゃなくて、話せなかった。



マユカもカレシとのことで悩んでいたし、何より、アタシと小説家の物語はまだ終わっていないから。



「マアサってコとも、早く仲直りできるといいね」



それでも話したのは、マユカにもわかってほしかったから。



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