最後の夏休み Last Summer Days.
アタシは泣いていたのも忘れて、



夕暮れまで近所を探していた。



晩ご飯ができたと呼びに来た小説家が母親みたいで少し笑えた。



ご飯を食べていてもソラは帰ってこなくて、



アタシのワガママのせいなんだと、また泣いてしまった。



「カニクリのせいなんかじゃないよ。ソラだって夜遅くまで遊びたいんだよ」



アタシは小説家の言葉にうなずきながら、涙の味しかしないご飯を食べる。



ベランダに出て蒸し暑い夜の世界を見回しても、ソラの姿は見えたりしなかった。



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