最後の夏休み Last Summer Days.
次の水槽へと歩いていく小説家。



「ホントだったらもっとおっきな海の中を泳いでいるのに」



「それはそうだけど」



「だから時々思うんだ。ここから出してやりたいって」



「ムリだよ。そんなの」



前を歩いていた小説家が振り返ってアタシを見つめる。



「自分の限界を決めてしまったら、先には進めないよ。何だってできる。



あきらめたら終わりだよ」



トンネルの空を泳ぐ魚達が、アタシ達の頭の上を飛んでいく。



「何が言いたいの?」



彼の言葉は真っ直ぐすぎて、アタシには痛い。



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