最後の夏休み Last Summer Days.
夏の間、小説家とよく歩いた帰り道。



タカヒロとのこと、



小説家とのこと、



上手く伝えられない。



頭の中がぐちゃぐちゃで考えられない。



それでもアタシが帰れるただ一つの場所の部屋に帰ると、



昼ご飯を作って待っていた小説家がいた。



「おかえり。もうできてるよ」



「………アタシの当番だったね。ごめん」



「気にしないでいいよ」



これは小説家なりの、ごめんなさい、なんだ。



そう思うならちゃんと言えばいいのに。



このヒトも、不器用なのかもしれない。



アタシと一緒で。



そう思うとアタシは、もっと小説家のことが知りたくなった。


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