最後の夏休み Last Summer Days.
「ねぇ、小説家。小説家はどうして小説を書こうと思ったの?」



「どうしてかな?」



ちゃんと答えてよ。



そう言いたいのを我慢して、アタシは小説家の言葉を待った。



「伝えたい、からかな。



ヒトと話して上手く伝えられない分、



文字にしたほうが表現できるんだ。



書くことで自分の中の感情を整理できている気もする」



説明のできない感情、



どんなカタチにすればいいのかわからない気持ち。



「小説家の書く小説は、心の声なんだね」



「そうなるのかな」



照れたように微笑んでいる小説家。



そんな心の声―――


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