最後の夏休み Last Summer Days.
「もしもし?」



「―――何か用?」



強い言葉がアタシの開きかけた心を閉めてしまいそうになる。



「聞きたいことがあるの。―――椎名カズヤさんのこと」



閉ざしてはダメだ。



これが小説家につながる最後の手がかりなんだから。



「………アンタ、誰?」



少し黙っていたヒカリが小さな声で言った。



「アタシは、カニクリ」



また、ヒカリは黙った。



「―――わかった。教えてあげるよ。S図書館にいるから一人で来て」



そう言われて返事をする前に切られたケータイを返した。


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