最後の夏休み Last Summer Days.
「約束したの。それなのに、いなくなってしまったから」



「それで、今頃カズヤを探してるの?」



「小説家は―――彼は、どこにいるの?」



「教えない。カズヤはアンタのことなんて忘れたんだよ」



「嘘でしょ? 約束したんだよ。2年後に会おうって」



「カンケーないよ。カズヤはもうアンタの知ってる小説家じゃないんだ。



これ以上カズヤのこと探さないで。



じゃないと―――」



ヒカリが一歩近付いて、右手でアタシの首に何かを当てる。



冷たい感触。



皮膚にそっと刃が触れる。



頭の中で忘れていた感覚が戻ってくる。



―――手首を切り裂く、カッターナイフ。



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