最後の夏休み Last Summer Days.
「カズヤ!」



ヒカリは彼の手を引っ張って連れていこうとする。



「一回聞いたら忘れられない名前だな」



手を引かれて歩き出しながら、彼は言った。



去っていく二人とすれ違いながら、



取り残されたアタシに向かってマユカが走ってくる。



「カニクリ!」



呼ばれて緊張が解けたアタシは、全身から力が抜けて芝生にすわり込む。



「どうしたの!? 大丈夫!?」



うなずきながら離れていく二人の後ろ姿を指差す。



「あれがヒカリと………小説家?」



腕を組んで歩いているその後ろ姿は、恋人同士だった。



「何それ? どーゆーこと?」



アタシは答える気力もなく、呆然と見ていた。


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