最後の夏休み Last Summer Days.
「………ほ…ホントに、小説家なの………?」



笑顔のままうなずいた彼は、そっとアタシの頬を流れる涙を指でふいた。



「泣かせてごめん」



包み込む両手が温かくて、



近付く彼の顔を見ているのが恥ずかしくて、



アタシは目を閉じる。



重なる唇の感触が懐かしかった。



あの時と同じ、優しさに満ちた小説家とのキス。



アタシはこんなにも彼を待ち望んでいたんだろうか。



アタシ達が過ごした最後の日から、ずっと。



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