最後の夏休み Last Summer Days.
彼の後ろでゆっくりとドアが閉まり、小説家の部屋がまた暗闇に包まれる。



「―――忘れたの?」



忘れるはずがない。



「………猫だった?」



忘れてしまえるわけがない。



「違うよ。―――全部忘れてしまったの?」



「そんなわけねェよ。忘れたらこうやって会いに来ないだろ?」



アタシは小説家との約束を守ってるよ。



言葉づかいも直したし、小説も書いた。



だけど―――



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