最後の夏休み Last Summer Days.
「アタシにも教えてよ。小説家は何で、死んだの?」


彼は夜空の月を見上げる。



「正直、わかんねえ」



また、吐き捨てるように言った。



「アイツは生きることに疲れてた。



世界に絶望してたんだ。



夢を追いかけて自費出版した会社が倒産して、



そのせいでまとまりかけていた出版の話まで潰れて、



未来が見えなくなったって。



オマエに話したってオレとアイツのことは信じてもらえないだろうけど、



アイツはオレの罪を背負って死んだ。



だから、オレはアイツの願いを叶えてやりたかった。


オマエに会うのもその一つ」


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