最後の夏休み Last Summer Days.
「何やってんだよ!」



アタシは反射的に飲み込んだ海水を吐き出して咳き込んだ。



「何で死のうとしてんだよ!」



濡れて張り付いた前髪の下のキレイな形の瞳が、アタシを見ていた。



「生きなくちゃダメだ!」



見ず知らずのアタシに何をマジになってそんなことを言ってるのかと、やっと回り始めた脳が思っていた。



「ダサ………」



彼の目から流れているのが海水なのか、



「泣いてるの?」



涙なのかわからない。



「死んで楽になんかならない! ただの現実逃避だよ!」



アタシの言葉に答えず叫ぶ彼の握る左手が痛かった。


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