最後の夏休み Last Summer Days.
小説家はこの大学の学生だった。



大学を卒業して大学院に進み、研究室に入って働いていたと聞いたことがあった。



「小説家は―――死にました」



認めたくはなかった。



でもそれが、事実。



「………そう。いつかはそんな日が来ると思ってた」



彼女は少し驚いただけで、落ち着いていた。



「自殺するって、………知ってたんですか?」



「知ってたら止めてるわよ。



でもその兆候があるのは気付いていた。



だから彼の提案した実験を採用したりして、生きる理由をつないでいたつもりだったのに。



ここを辞める時はきっと死ぬつもりだったのね。



アナタのことをよろしくって言ってたから」


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