最後の夏休み Last Summer Days.

「他に、何か言っていましたか？」



「アナタに、全部話してくれって」



「全部？」



「そう。



アナタを救ったのは彼の偶然だった。



でも私に会わせたのはカウンセリングと実験のため。


物語を書くことで心を治療しようとする試みだったの」



それから難しい用語を使った専門的な説明は、アタシの頭には入らなかった。



ただ―――



「ただ、アナタを救いたいと思っていたのは事実よ。


だから利用されたなんて思わないであげて。



彼が悲しむから」