最後の夏休み Last Summer Days.
「もしもし?」



「カニクリちゃん? 元気?」



「はい。元気です………」



思っていたよりも明るい声にアタシは戸惑った。



それから世間話を少しだけして、



「カニクリちゃん、カズヤは見付かった?」



彼女はそう聞いた。



「……ミヤさん―――」



ホントのことを話さなければいけない。



いまだにアタシだって信じられないのに。



「小説家が………死んじゃったよ………」



それを彼女に言うのが辛くて、



苦しくて、



アタシはずっと我慢していた涙を流した。


< 179 / 201 >

この作品をシェア

pagetop