最後の夏休み Last Summer Days.
「手、痛いんですけど………」



包帯の下の傷が熱くて痛くて、



「ごめん………」



冷静になった彼が手を離して謝った。



「何、勘違いしてんの?」



その目がやけにムカついた。



「アタシはただ泳ごうとしてただけ。こんな浅い海じゃクジラだって死ねないって」



言い捨ててアタシは砂浜に戻っていく。



「浅かったらクジラは死ぬと思うけど………」



「泳ぐ気がなえちゃったじゃん。どうしてくれんの」



どこかほっとしながら。



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