最後の夏休み Last Summer Days.
2年経った今も変わらない、小説家の部屋の風景。



こうしてまた、制服を着てドアの前に立つと、



小説家が見送ってくれるような気がする。



そう思っていると、ドアが開いた。



「あ、カニクリ。もう出るの?」



サエコさんが驚いた顔で聞いた。



「はい。今日はマユカと会うんで」



「そっか。最後にまたご飯食べに行こうと思ったのに」



「すみません。せっかくですけど」



ねぇ、小説家。



「いいよ。気にしないで」



アタシの気持ちは今も変わらない。



「サエコさん。お世話になりました」




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