最後の夏休み Last Summer Days.
「ここにあるのは全部家から持ってきたの?」



「ううん。もともと少しはあったんだ」



「え? 誰かいたってこと?」



「昔は同棲してたって。アタシが来た時は服だけだったから」



「じゃあ、小説家の恋人の服を着せられたんだ」



マユカがあまりにも嫌そうな顔をするので、そうだね、とアタシは笑った。



「でも、今はもう嫌いじゃないよ。だって、元カノさんがいなかったら、きっと小説家はアタシを救ってくれなかっただろうから」



ホントはいなくてもたすけてほしかったよ。



「そうなんだ」



そう言ってマユカはベランダに出てタバコに火を点けた。



アタシもベランダに立って沈んでいく夕日を見た。


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