最後の夏休み Last Summer Days.
「それで、カニクリってどういう意味?」



「カニクリームコロッケ」



「好きなの? それとも、またお腹空いた?」



遅いランチに小説家の作ったチャーハンは素朴なありふれた味で、



すごく美味しいわけではなかったけど、空腹のアタシは残さず食べた。



朝から食べる気すらなかったアタシが、その時はちゃんと食べた。



だから、違うよ、と首を振る。



「小説家は、何でアタシに気付いたの?」



話を変えようと気になっていたことを聞くと、



「こうやってタバコを吸ってたら、君が見えた」



そう言ってまた悲しい笑顔を見せた。



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