最後の夏休み Last Summer Days.
「ねぇ、小説家。このワンピース、誰の?」



「一緒に住んでた恋人の。―――嫌だった?」



「別に」



ホントは、嫌だった。



この白いワンピースも、淡いピンクのパンツも、少しきついブラも、着たくはなかった。



「ごめんね。でも、似合うと思ったんだ」



彼は吸い殻を携帯灰皿にしまって部屋に戻っていく。



「その恋人にフラれた?」



「さぁ? どうだったかな?」



その後ろ姿は、寂しかった。



< 28 / 201 >

この作品をシェア

pagetop