最後の夏休み Last Summer Days.
シブヤ駅。



たくさんの電車と、たくさんのヒトと、たくさんの思いの、交差点。



今のアタシには似合わないね。



隣に立つマユカにそう言うと、彼女は笑った。



「そう思ってるのはカニクリだけだよ」



キャラメル色の髪でギャルメイクのマユカはよく笑う。



それが大きな穴の開いたアタシの心を紛らわせてくれていた。



だけど、それでは足りなかった。



高3の春に同クラになってからの友達のマユカには悪いけど。



どうやっても埋まらない傷を満たせるのは、一人だけだった。



「で? そのカレはどんなヒト?」



何から話せばいいだろう。



アタシなんかよりも頭のいいマユカは、きっと上手く話せなくても理解してくれる。
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