最後の夏休み Last Summer Days.
それからアタシは小説家のベッドで、小説家は床で横になった。



「ねぇ、小説家。もう寝た?」



青く暗い部屋にアタシの声が響く。



「もう寝ました」



「起きてんじゃん」



小説家のほうに寝返りを打つと、彼はじっと天井を見つめていた。



「どうしてアタシのこと、何も聞かないの?」



「聞いてほしい?」



「そーじゃないけど」



「言いたくないなら無理に聞かない。それだけ。聞いてほしかったら何でも聞くよ」



「変なヤツ。フツーは、どこから来たの? とか、何かあったの? とか言わない?」



「聞いてほしいんだ?」



「別に。言いたくなったら言うよ」



「期待しないで待ってるよ」



「………うん。おやすみ」



「おやすみ」
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