最後の夏休み Last Summer Days.
小説家の部屋を飛び出して、



来た時と同じようにまた乗り継いでいく電車の窓に映る金髪のアタシ。



胸までの毛先を指に巻き付けると、窓の中で遅れずに巻き付ける。



「これが、アタシ―――」



すっぴんで飾り気のない目元はやつれていて、



「………キモチワルイ」



やけに白い肌が病人みたいで、



「………キモチワルイ」



吉祥寺の家に近付けば近付くほど、アタシの中に増えていく黒い感情。



全てを壊してしまいたい。



それができないなら、アタシが壊れてしまいたい。



そんな感情を吐き出してしまわないように、アタシは夏空の太陽の下を走り出す。


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