最後の夏休み Last Summer Days.
住宅街の角に立つその家は鍵がかかっていて、



アタシが帰ってくるのを拒否していた。



持っている合鍵で中に入ると、母親が冷たく出迎える。



「一晩もどこにいたの?」



そんな形だけの心配はいらない。



「別に。カンケーないじゃん」



年の割りには若くて化粧品のセールスをしているのにケバい。



アタシは母親が嫌いだった。



アタシには少しの愛情もくれない。



「ホントにアンタだけは出来が悪くて困るわ」



優秀な姉や要領のいい妹に比べて何の取り柄もないアタシは、この家には必要のない存在。



「ウザいんだよ!」



そうやって叫んでも何も変わらない。



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