最後の夏休み Last Summer Days.
アタシが小説家の部屋で暮らし始めて一週間くらい経った台風の夜。



マンションの庭にある大きな木が強い風に吹かれてザワザワと揺れていた。



「雨戸閉めるから」



と窓際に立つアタシの隣で小説家が窓を開ける。



雨が降りそうな匂いの風が部屋の中に舞い込む。



ベランダに出た小説家の後を追ってアタシもベランダに出る。



風に白いワンピースがめくられてしまう。



「見たでしょ!」



急いで押さえて小説家を見ると、



アタシなんか見ずに雨戸を閉めていた。




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