最後の夏休み Last Summer Days.
しゃがんで手を出すと猫は警戒もしないでじゃれてきた。



「………迷子かな?」



「もうかなりのおばあちゃん猫だね」



「ニャァ」



「小説家。部屋に入れてあげようよ。こんな台風の中じゃカワイそうだよ」



アタシは返事を聞く前に猫を抱き上げて部屋へ入っていく。



「答える前に入るなよ」



「ちょっと汚れてるからお風呂に入ろうね。キレイにしてあげるよ」



聞こえないフリでアタシはバスルームに向かった。




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