最後の夏休み Last Summer Days.
「それでも死ねなかった………。


親にもバレて思いっきりたたかれた。



そんなことするくらいなら学校行けって。



それであの日、終業式サボって海に来たんだ。



それからは見てたんだよね?」



うん、と小さく言って小説家はアタシの隣にすわった。



「死ぬつもりだった。



誰にも邪魔されずに死にたかった。



海がアタシを呼んでたんだよ。



死んで全部なかったことにしちゃえばいいと思った」



うん、うん、と低く優しく響く声で彼は聞いてくれていた。



泣いてしまいそうだった。


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