最後の夏休み Last Summer Days.
「それが………」



言いにくくてためらっていると、彼女は封筒を開けて手紙を広げた。



「カズヤって変でしょ? 手紙だって普通に出せばいいのに、アナタに頼むなんて」



話しながらも手紙に目を落として読んでいた。



見とれてしまうほどキレイな長いマツ毛が何度かまばたきをすると、大きな涙が彼女の瞳から流れた。



「バカ………遅すぎるよ………」



こぼれる涙をぬぐいながら彼女は笑った。



「―――ごめんなさい。初対面なのにいきなり泣いてしまって」



タバコが灰皿の中で燃え尽きていた。


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