最後の夏休み Last Summer Days.
「ねぇ、小説家。兄弟っているの?」



アタシがここに来てからずっと一緒にいた小説家が、初めて仕事だと言って出かけた。



「何? 急に」



今まで起きてから寝る直前もアタシの話し相手になっていてくれたから、



帰ってくるとアタシは話をしたくて質問ばかりした。



「いいから、ちゃんと答えてよ」



ベッドの上ですねるアタシを小説家は笑った。



「今はいないよ。産まれるまでは双子だったらしいよ」



「死んじゃったの?」



「そうだよ。だから弟の分まで生きていかないと」



話を聞いてくれるけどしゃべってはくれないソラが、アタシのそばから小説家の足元へ歩いていく。



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