最後の夏休み Last Summer Days.
「―――もう一人の、自分。かな?」



アタシは投げようとしていた枕を持ったまま、



「何それ………」



つぶやいて動けなくなった。



「何となくだよ」



とタバコに火を点けてベランダに出ていく。



「そうやってすぐ逃げる」



ムカついてアタシはやっぱり枕を投げた。



「でもホントにもう一人の自分がいたら大変だよ。そう思わない?」



小説家は振り返って煙を吐き出す。



「アタシは―――」



この世界にアタシは一人で十分。



こんなメンドクサイのは、二人もいらないよね?


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