社会のゴミ屑が異世界へ旅立ったようです

樹海に出掛けるのすら億劫だ
ベランダの物干し竿を取り外して部屋の両端にある棚とパソコンデスクの上に置いた

竿が転がり落ちないようにガムテープでガッチガチにとめる

さらに竿を挟む位置に本を積み上げた

部屋の中央にいい感じに釣り下がれそうな棒の出来上がりだ

この棒にロープをセットして、絞首台は完成

あとは俺が吊り下がれば終わり

首吊り自殺は死んで筋肉がゆるくなり、後片付けが大変だと聞くけれど、電車に轢かれたり飛び降りたりするよりはましだろう

きっと死んだらしばらく誰も気づかないでほうちされるんだろう

でもかまわない
遺言を遺したい人もいない
椅子を使って、少し高い位置にあるロープにゆっくりと首を通す

椅子を自分の足で蹴った
痛い
息苦しい
涙が滲む

死にたくない
生きていたい
なぜ俺はあのとき頑張らなかったんだ
なぜ親の遺産を無駄にした
なぜ俺は、なぜ…

後悔の渦にのまれる中、意識が遠退いた


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