毒舌、綺麗にかわされました。
急に声をかけられ、思わずとまった。

「何であんな冗談言ったの?」

その声は少し怒っている感じで。
いつもより低く感じて。

「…。」

私は押し黙ることしかできない。

だって理由なんてないもん。
冗談なんかじゃないから。

まぎれもない、本心だったんだから。

「美姫も、からかったの?」

…違う。

「へぇ。そっか。美姫は、嘘で告白する
ような子なんだ。」

…違う。

「俺のこと期待させて、楽しい?」

…違う。

私は、そんな軽い気持ちで言ったんじゃ
ないんだよ。

勇気を出して、言ったんだよ。

なのに。それを。

そんなふうに言わないでよ。
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