毒舌、綺麗にかわされました。
「いたっ。」

勢いがあった分、痛みが大きくて。
赤くなった鼻をさすり、奴をにらむ。

…って言っても、背中だけど。



「ごめん。痛かった?」

くるり、とこっちを向く大路颯斗。
申し訳なさそうに眉を下げている。

…そんな顔をされたら。

「別に、大丈夫です。」

こう言うしか、ないじゃない。

何故だか気恥ずかしくなってきたので、
私はふいっ、と顔を背ける。

「何で、走ったんですか。」

恥ずかしさをごまかすために、私は口を
開いた。
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